かなりマニアックなテーマですが、手すりは安全を確保するための重要な設備です。中桟、幅木の高さといった細かい設計についてもしっかりおさえておく必要があります。
中桟、幅木とは?
中桟、幅木という言葉、日常生活ではまず出てきませんね。
まずは、中桟、幅木について簡単に説明します。

上の図のように、上桟、中桟、幅木を簡単に書いてみました。
上桟は、手すりの上の部分ですね。一般的に、手すりの高さというと上桟の高さにあたります。
次に中桟は、上桟と幅木(床面)の間についている柵です。これは、上桟と幅木(床面)の間から、作業者が墜落するのを防ぐ目的で取り付けます。
一番下は、幅木です。基本的には床面から隙間の無いように取り付けます。これは、資材や工具などの物が落下するのを防ぐ目的で取り付けます。
これで中桟、幅木の理解はできたでしょうか?
法律の規定は?
それでは、各法律の規定はどのようになっているでしょうか?
私の方で中桟、幅木に関する規定が確認できたのは、労働安全衛生規則、仮設工業会、JIS規格でした。なお、労働安全衛生規則は枠組み足場の規格もありますが、筋交いがあり状況が特殊なので、ここでは除外し、仮設通路の規格を採用しています。
下表のようになります。
法律、規格 | 手すり | 中桟 | 幅木 | 備考 |
労働安全衛生規則 | 85cm以上 | 35-50cm | 10cm以上 | 仮設通路 |
仮設工業会 | 95cm | 規定なし | 10cm以上 | – |
JIS規格 | 110cm以上 | 桟間を50cm以下 | 10cm以上 | – |
JIS規格の「桟間を50㎝以下」が特徴的だと思いました。
なぜこのような規格になったのか、理由は定かではありませんが、おそらく桟間の隙間が50㎝を超えると、そこから人がすり抜けて落下する可能性が高くなるからだと思います。
JIS規格の「桟間は50㎝以内」ルールは、法的義務はありませんが、私個人的には作業者の安全を考慮して可能な限り従うべきと思います。
これは偶然かもしれませんが、労働安全衛生規則の手すりの最低高さ85㎝を前提とすると、中桟の高さが35-50㎝の幅であれば、この場合も桟間は50㎝以下に収まります。
ただし、手すりの高さが高くなると、中桟の高さを調整する必要が出てきます。例えば、手すりの高さが110㎝の場合は、中桟を幅木から50㎝(床から60㎝)の位置に配置することで桟間の隙間を50㎝以下とすることができます。
また、仮設通路の場合は、労働安全衛生規則の「中桟は30-50㎝」ルールを満たす必要があるので、その範囲にとどめた上で、中桟と上桟の間にさらに一本の桟を追加すれば安全性の高い手すりができます。
まとめ
中桟、幅木の高さ設定に関しては、基本的に以下のポイントを考慮すれば、最低限の対策として上記の規格は満たせるでしょう。
- 中桟は、桟間の隙間を50㎝以下となるように配置すること。
- 仮設通路の場合は、中桟の高さに35-50㎝ルールがあるので、上桟の高さに応じて中桟の位置を調整する。
- 幅木は、10㎝以上とすること。
下の図は私が個人的にお勧めする手すりの設計です。他に何も制約がない状況でしたらこの設計で進めるようにしています。JIS規格と同じです。

最後までお読みいただきありがとうございました。