エックス線装置を設置する際に、確実にやっておきたい6つのこと

エックス線装置は、非破壊検査の用途等で使用し、便利な装置ですが、エックス線は人体に非常に有害ですから、エックス線装置の設置に関しては、電離放射線障害防止規則などにルールが規定されています。

そんなエックス線装置ですが、今回は設置したいときに、確実に実施しておくべきこと6点について説明したいと思います。（ほんとは、3つぐらいにまとめたかったですが…）

エックス線装置設置時におさえておくべきこと

いきなり、表題の結論ですが、以下になります。

以降はこれらについて、解説していきます。

設置届は、所轄の労働基準監督署へ提出します。

特に注意すべきなのが、「工事開始の30日前まで」です。工事開始の予定日の30日前までに設置届を提出できていないと、予定の日に工事が開始できなくなってしまいます。

設置届は、労働衛生規則第86条で規定されており、様式は、労働安全衛生規則関係様式として、厚生労働省のホームページより入手できます。

必要書類のリストを以下にまとめておきます。写しと合わせて2部持参し、1部は提出、1部は受領印をもらって持ち帰りましょう。

念のために装置の仕様書も持参したほうがよいでしょう。法令では定められていませんが、要求されることがあります。労働基準監督署の職員から、細かい質問をされたときにも役立ちます。ちなみに、私が届出をした際には、提出を求められました。

放射線管理区域とは、エックス線などによる被ばく量が、3か月間で1.3ミリシーベルトを超える恐れのある場所です。

非常に危険な区域なので、標識を取り付けたり、放射線の量を監視したりと、特に厳しい管理が必要なエリアとなっています。設置届の必要書類の中には、この放射線管理区域を示す図面も添付する必要があるので、設置届提出の時点では必ず、放射線管理区域は指定することになると思います。

なお、エックス線装置には、外部にエックス線が漏れない分析機器等もあります。この場合は、放射線管理区域が装置内部となり、必要な対応が軽減される場合があります。

放射線管理区域ごとにエックス線作業主任者を選定する必要があります。

エックス線作業主任者の職務は要約すると次の7項目になります。

管理区域、立入禁止区域の標識が規定に適合して設けられるように措置をること。
照射筒およびろ過版が適切に使用されるように措置すること。
第12条（間接撮影）、第13条（透視）に規定する措置を講ずること。特定エックス線装置を放射線装置室以外の場所で使用するとき、放射線を労働者が立ち入らない方向に照射し、または遮蔽する措置を講ずること。
放射線業務従事者の受ける線量ができるだけ少なくなるように照射条件等を調整すること。
自動警報装置（第17条第1項）がその規定に適合しているかを点検すること。
照射開始前および照射中、立入禁止区域に人がいないことを確認すること。
被ばく線量測定のための放射線測定器が規定に適合されているかどうかについて点検すること。

エックス線作業主任者は、エックス線作業主任者免許を有する者から選任する必要があります。エックス作業主任者免許は、エックス線作業主任者試験に合格して、登録のための手続きを取れば取得できます。

エックス線装置の操作者や保守作業者など透過写真撮影業務を行う者に、事前に特別の教育を実施する必要があります。

特別教育は、教育実施者は、必要な能力等を備えていれば、特に資格は必要ありませんが、科目、範囲、時間が定められており、この通りに教育を実施しなければなりません。

以下のような要件となっています。

科目	時間
透過写真の撮影の作業の方法	一時間三十分
エツクス線装置又はガンマ線照射装置の構造及び取扱いの方法	一時間三十分
電離放射線の生体に与える影響	三十分
関係法令	一時間

管理区域に立ち入る作業者については、定期的な被ばく線量の測定が必要になります。

測定の方法は、被ばく線量測定用フィルムバッチと呼ばれるものを装着して、業務を行い測定します。線量の限度値を比較して、作業者の被ばく状態を把握します。

電離放射線障害防止規則では、六月以内ごとに一回の健康診断が求められており、定められた検査項目に従って、健康診断を行います。

安全上必要な手続き等について何か困ったことがあれば、エックス線装置のメーカーに問い合わせてみましょう。かなり心強い味方になります。彼らもプロなので、問い合わせるとかなり詳しく教えてくれます。ぜひ利用しましょう。

あくまで、個人的な印象ですが、実施に苦労するのがエックス線の特別教育です。外部講習機関でもほとんど見つけられないからです。近くで受けられない場合は、上位資格のエックス線装置作業主任者を取得するか、それなりの知識を有したものが、社内での特別教育を実施することになるでしょう。

ちなみにですが、設置時にはいろいろと大変な手続きが必要なエックス線装置ですが、廃止する場合には、特に必要な手続きはありませんでした。（管轄の労働基準監督書に確認しました。）

以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。