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自律的な化学物質管理

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皆さんは、「自律的な化学物質管理」って聞いたことありますか?,

我が国の化学物質の管理方法を抜本的に変えようとしているもので、2022年ごろから新たな規制に移行されてきました。そろそろ皆さんの会社でも浸透してきたのではないでしょうか。

今回は「自律的な管理」について、改めて解説し、自分が課題と思う点を挙げてみました。

「自律的な管理」とは?

これまでの化学物質の管理方法は、「法律順守型」でした。

これは、国が個別の化学物質について規制を定め、事業者は国が定める規制に従うという方法です。国の評価によってリスクが高いと認められた化学物質に対してとるべき措置を定める。

昔はこの方法でも十分有効だったんですが、最近は無理が出てきました。世の中に化学物質は数万種類あるといわれています、その中で規制を受けている物質は数百種類です。

企業は、規制を受けていない物質を好んで使うようになりました。これらは規制を受けていないだけで安全な物質である保証はありません。そして、これらの化学物質による労働災害が増加してしまったのです。最近の化学物質関連の労働災害のうち、約8割が規制外の化学物質です。国が規制をかけても、また新たな化学物質が出てくるというイタチゴッコの状態が続いています。

結果、我が国は、個別の化学物質に規制していくやり方を諦めました。すべての化学物質に適用できる規制の枠組みと、濃度基準を定め、事業者自らに必要なばく露防止措置を選択させるという方法を目指すことになったのです。

このような仕組みを「自律的な化学物質管理」と呼んでいます。実は、この方法は欧米ではすでに定着しているやり方で、我が国もその方法に追従する形となりました。

課題

「自律的な管理」への移行に当たってはいくつかの課題があります。私は以下を挙げました。

  • リスクアセスメント義務対象物質の大幅拡大
  • リスクアセスメントの精度
  • ばく露防止措置の評価

それぞれについて解説していきます。

リスクアセスメント義務対象物質の大幅拡大

まず、リスクアセスメントの義務物質が大幅に増加しています。国が評価し、危険有害性が認められる化学物質が全て対象です。

2026年4月には、約2900種類まで増える見込みです。これだけ増えると、もはや使用する全ての化学物質が評価対象物質と考えるべきです。

つまり、いかなる化学物質を使用する場合でも、必ずSDSを参照し、危険有害性を確認し、該当する場合はリスクアセスメントを実施し、必要な対策ととるということが当たり前に行われなければならないということです。

リスクアセスメントの精度

そして、今後は、より化学物質のリスクアセスメントの精度が求められます。

「自律的な化学物質管理」の肝はリスクアセスメントです。リスクアセスメントは、最初のスクリーニングとして使うことにもなるでしょう。万が一、間違ったやり方をしてしまうと、リスクを見逃してしまう可能性があります。

ばく露防止措置の評価

ばく露基準値が設定されていない化学物質

「ばく露基準値が設定されていない化学物質」の評価をどのように実施していくかも課題でしょう。

ばく露基準値は、ばく露評価に必要な情報です。何を根拠にばく露を十分下げたといえるのか?は、基準値があってはじめて可能となります。

ばく露基準値が設定されている化学物質

一方、「ばく露基準値が設定されている化学物質」については、作業環境測定の必要性が増えるでしょう。

ばく露基準値の設定されている化学物質はその測定方法もセットで利用できるようになっていないと行き詰ってしまいます。各企業で測定・定量方法を開発するのは難しいでしょう。作業環境測定機関や簡易的な測定キット等で手軽に評価できる体制がとれていることを望みます。

「自律的な」化学物質管理の成功には「自立的な」取り組みが不可欠

自律的な化学物質管理の成功には、全ての企業が「自立」する必要があります。

これからは、国が定める措置に従うという受け身の姿勢から脱却し、自ら考え自ら対応する自主的な姿勢が求められます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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