もうちょっと「雑」に生きてみないか

本書は精神科医でもある和田秀樹さんの著書です。一見ネガティブにも見える「雑」に生きることを勧めている面白いタイトルにひかれて読んでみました。

まじめすぎるがゆえに、生きにくさを感じている方にはお勧めの1冊です。

苦しみの根源、完全主義

本書では、「雑」の反対を「まじめ」だと言っていますが、決して「まじめ」が良くないわけではなく、「まじめすぎる」性格によって、悩んだり苦しんだりすることが良くないということです。

まじめすぎる性格

まじめすぎる人の性格の特徴として、「完全主義」へのこだわりが強い傾向があります。そして、「自分はなんでもできる」という思い込みやうぬぼれを持っています。

人間だからできないことや苦手なことがあって当然です。人間である以上、完全主義は成し遂げられません。でも、まじめすぎる人は、完全主義を目指し、できなかった結果に対して自分を責めて、苦しみます。

まじめすぎる人が抱えている完全主義が、自分自身を苦しめる根源です。

まずは自覚すること

まじめすぎる性格を直しにくい理由

まじめすぎる性格は、これまでの人生で気づかないうちに刷り込まれたものである場合が多いため、本人はなかなかそれに気付けません。自分を苦しめる原因を自覚できないため、その性格を修正することが困難になります。

自覚するための質問

まじめすぎる性格を自覚するための質問があります。次の3つのいずれかに当てはまれば、あなたはまじめすぎる性格です。

例えば、「職場の全員に好かれなければならない」、「仕事でミスをしてはいけない」など。完璧な状態を期待してしまい、できていない部分のみにフォーカスして、「なんでできないんだ！」と自分を責めてしまう状態ですね。

自覚することからはじめよう

誰でも、時に負けることもあるし、できないこともあります。人間である以上、完全ではないのに、完全な理想像を思い描き、それを目指して、出来なかった自分を責めている。自分の思い込みが原因で苦しんでいる。そんな自分を自覚することが問題の解決のための最初の一歩です。

楽しい人生を送るために

人生の目的を考える

まじめすぎる自分の性格に気づくことができたら、果たしてそれが、人生の目的にプラスになっているかどうかを考えてみましょう。

そのために、自分の人生の目的について考えてみましょう。

人生の目的は人ぞれぞれですが、本書で言っているように、「幸せになること、楽しく生きること」は共感できるところではないでしょうか。

そして、自分のまじめすぎる性格がその目的にかなっているかどうかを考えてみましょう。

まじめすぎる性格が原因となり、楽しく生きられていなければ、それは修正した方がよいかもしれません。

「雑」に生きるという治療法

まじめすぎる性格を修正するには、「雑」に生きてみるという方法が挙げられます。

以下のような考え方が、「雑」に生きる考え方の例です。

ポイントは、結果への期待を一切捨てることです。そして、今できていることにフォーカスし、「マシ」だと思うようにしましょう。そうすることで、できない自分を認めることができ、自分を責めることが無くなります。

以下が「職場の全員に好かれなければならない」と期待している場合の「雑」に生きる考え方の例です。

楽しい人生とは

まじめすぎる性格の人は、失敗を恐れるあまりに、慎重な人生になりがちです。
そして、なかなか実行に移せずに、チャレンジの回数が少なくなります。

一方、雑な生き方ができる人は、失敗を許容できるので、「やらないよりマシ」と考え、「とりあえずやってみよう」という考えになります。そして、チャレンジの回数が増え、成功の期待値があがります。

雑な生き方の方が楽しそうな人生ですよね。

いろんな世界に出会え、いろんな可能性に気が付いて、いろんな生き方を選択できるようになり、楽しい人生を過ごせるようになります。

まとめ、感想

人それぞれ、生きる目的があると思います。生き方は、その目的をかなえるための方法に過ぎません。だから、自分の人生の目的に合った生き方を選択することが重要です。

そのためには、常に自分の人生の目的を明確にしておくこと、いろんな生き方を取り入れられるように柔軟な姿勢でいたいものです。