過去にエックス線装置を設置する際におさえておくべきことについての記事を書きました。
今回は、装置内のみが管理区域の場合は、必要な措置の一部が軽減されるというお話です。
製造業ではエックス線を使った検査装置が意外と多くあります。
以前、私が勤めていた工場では、製品の中身を非破壊で検査するためにエックス線の装置が導入されていました。そういう設備は多くの場合、包装機の内と外は扉などで隔離されており、作業者がエックス線に照射されないような安全対策がされていることがあります。そういう場合に、今回のような扱いができます。
それでは、いきましょう!
装置内のみが管理区域とみなせる条件は3つ
どのような時に装置内のみが管理区域と判断することができるのでしょうか。
条件を3つにまとめてみました。
- エックス線照射ボックスの外側での実効線量が3 月間につき 1.3 ミリシーベルトを超えないように遮へいされた照射ボックスがあること
- 扉が閉じられた状態でなければエックス線が照射されないようなインターロックを有すること
- インターロックを労働者が容易に解除することができないような構造であること
装置外に一定量以上のエックス線が漏れなければ安全と言えます。そのためには、装置自体の遮蔽能力と、開放した状態でエックス線が照射されないインターロックの機構が必要となるわけです。
装置内のみが管理区域の場合に必要な措置
では、装置内のみが管理区域と分かった場合に、その装置を設置する際に必要な措置を確認しましょう。
以下となります。比較のために、通常必要な措置もわかるように表示してあります。
- 設置届の提出
- 放射線管理区域の指定
エックス線作業主任者の指定- 特別教育の実施
定期的な被ばく線量の測定定期的な健康診断
作業者が、放射線管理区域に入らない前提となり、一定の安全が確保されるため、必要な措置が軽減されます。
定期的な危機の確認
設置時に必要な措置が軽減されましたが、定期的に実施すべきことがあります。
作業者の安全を継続的に確保するためには、装置から漏洩するエックス線の線量が規定値以下であること、インターロックが適切に機能していることを定期的に確認しておく必要があります。
これらが「装置内のみが管理区域である」と言えるための根拠なのですから、それが維持されていることを確認することは当然ですね。「気づいたら大量のエックス線が装置外に漏れていた」「エックス線の被ばくで作業者が体調を壊した」といった事故が発生してからでは遅いです。
機器の定期点検などに合わせて、これらの確認も実施するとよいでしょう。
自家で漏洩線量測定を実施することも可能ですが、定期点検を実施してくれるメーカー等に依頼して、点検項目に加えてもらうのがよいかと思います。
なお、漏洩線量の測定に使用する機器は、校正されているものであるかどうかを必ず確認しましょう。
まとめ
今回は、エックス線装置の装置内のみが管理区域である場合は、設置時に必要な措置が軽減されることを学びました。
ただし、これには一定の安全が継続的に維持されていることが前提であることから、漏洩線量やインターロックの定期的な確認が必要です。