なぜ「ムダな努力」をやめるべきなのか?
本書には、「くだらない人間と付き合わない」といった、徹底した効率重視の生き方が描かれています。ここまで割り切れる人はすごいと感じると同時に、著者の言葉からは「成功には覚悟が必要だ」というメッセージが伝わってきます。
著者・成毛眞さんはこう語ります。 「人生は楽しんだもの勝ち」 「素の自分で、いかに人の記憶に残る人生を送れるかが重要」 「自分の人生を生きろ」
つまり、自分が本当にやりたいことにリソースを集中させることが、人生を豊かにする鍵なのです。好きでもないこと、楽しくもないことに無理して努力するのは、時間もエネルギーもムダ。やるべきことは「好きなことを追求すること」。それ以外に割く余裕はないのだと、著者は断言します。
「努力すれば報われる」は、もう通用しない?
今の日本は、戦後や高度成長期のような右肩上がりの時代ではありません。努力しても報われにくい社会になっている。だからこそ、「とにかく頑張る」ではなく、「最短で目的を達成する方法を見極める」ことが求められています。
報われない努力に時間を使うくらいなら、報われる努力に集中した方が、ずっと楽しい。これからは、「自分にとって必要な努力だけを選ぶ」時代なのです。
ムダな努力とは何か?
著者が挙げる「ムダな努力」の一例が、「いい人になろうとすること」。
「いい人」は、都合よく扱われ、消耗されてしまう存在です。企業でも、文句を言わないおとなしい人ほどリストラの対象になりやすい。善人になろうとする理由の多くは「嫌われたくないから」。その結果、プラスの要素に目が向かず、退屈な人間になってしまいます。
さらに、「いい人」は「自分が正しい」と思い込むことが多く、それによって他人の違う考えや行動を許せなくなり、他人を枠にはめようとする——そんな弊害もあります。
どうすればムダな努力を減らせるか?
・頑張らない・我慢しない・根性を持たない
「努力」「根性」「我慢」は、かつての日本社会では美徳とされてきました。でも今は、そうした精神論だけでは報われにくい時代です。
たとえば、仕事でほとんど使わない資格の勉強に時間を費やす、人に好かれようと無理をする——こうした努力は、実は自分のリソースを削ってしまう「ムダな努力」かもしれません。
苦手なことは、いくら時間をかけてもそれほど伸びません。そのせいで、得意なことに使える時間が奪われてしまっては本末転倒です。そして、好かれる人は何をしても好かれ、嫌われる人は何をしても嫌われるもの。だから、人の評価に振り回されるよりも、自分の「好き」「得意」に集中した方がずっと建設的です。
自分がやりたいこと、好きなこと、得意なことに時間を割き、思う存分発揮する——それが、成功への最短距離なのです。
まとめ
この本は、「努力=美徳」という思い込みを揺さぶり、「自分にとって本当に必要なことだけに集中する」ことの大切さを教えてくれます。ムダな努力をやめることは、わがままでも怠惰でもなく、むしろ自分らしく生きるための勇気ある選択なのだと感じました。

